みなさまごきげんよう。
今日は女の美学シリーズ(そんなシリーズはいま、出来ました。笑)です。
臨床医の里見先生がこの本の中でこんな言葉を言っていました。
「患者からの贈り物は受け取らねば、ならない。」
君たちが病棟を回診している時など、たまに患者さんや家族が、食べ物や飲み物を勧めてくれることがあるだろう。そういう経験をした者は ……3分の1くらいかな。まあいい。いずれそのうちある。その時、すぐに礼を言い、もらい受け、そして可能な限りその場で、つまり勧めてくれた患者や家族の目の前で、食うもしくは飲む。これこそが極意である。
里見先生はこのあと、自分が若かったころ、がんの骨転移があって身動きできなくなった患者さんから缶コーヒーを差し出されたけれど、飲まずに断ってしまったことを人生最大の痛恨事だと語っています。
おもてなしを受け取る心意気。
あの患者さんは、自分が出来る精一杯の「おもてなし」をしようとしたのに、私は退けてしまった。断られたことで、患者さんは、これが「たかが缶コーヒー1本」なのだという現実に引き戻されたのだ。そのことで、思うように動けないご自分の惨めさを改めて思い知らされたに違いない。私はなんと残酷な仕打ちをしてしまったのか。
病院の中には「医師や看護士への贈り物がご遠慮ください」と書いてある紙が貼ってあります。
ただ、あの貼り紙を見て、それでも患者が何か差し出してくるのには、それなりの理由があるのだ。それを断って良いことなど一つもない。
それでも里見先生は「受け取らなければならない」と言っているのです。
なぜでしょうか。
それはおもてなしの意味にあります。
「おもてなし」は、「もてなし」に丁寧語「お」を付けた言葉であり、その語源は「モノを持って成し遂げる」という意味です。 また、「おもてなし」のもう一つの語源は「表裏なし」、つまり、表裏のない「心」でお客様をお迎えすることです。
そう。表裏ない「心」を受け取れるかどうか、というところを里見先生は訴えていらっしゃるんですね。
贈り物を断る理由としては….。
◆医師として患者から贈り物をもらうと、「貰った患者とそうでない患者との差をつけるのではないか」と周囲に誤解されるから、困る。
◆贈り物を受け取ることで、相手に「特別扱い」をしてもらえるのではないかという期待をされても、困る。
まあ、どちらにせよ「自分が困るから」断るのです。
この場合、視点が「自分」に向いているのですが、里見先生は「相手の気持ち」に視点を向けよ、と言っているのですね。
里見先生は実はコーヒーが好きではないそうですが、その痛恨事以来、「相手の目の前で」「すぐに」「飲む&食べる」を心がけているとのことでした。
その心意気、とても美しいとわたしは思います。
わたしたち花咲けるタロット部もそんな「美しい心意気」を持ちましょうね!♪(´▽`*)
タロットカードの世界観では。
ところでタロットカードで「自分に視点が向いてしまっている」カード、すぐにわかりますか?
上の里見先生のお話では「自分が困るから」という部分です。
ライダーウェイト版の場合、それは隠者の「逆位置」の状態に該当します。
恋愛の場合、「相手に嫌われていないか」「相手にどう思われているのだろう」というご相談がよくありますよね?
これは一見相手のことを考えているようで、実は自分のことを考えている状態です。
彼は、わたしのことを大事に思ってくれているのかどうか。
わたしは、ちゃんと愛されているのか、どうか。
恋愛中に、誰でも一度はこういう気持ちになったことがありますよね。
けれど、こういう気持ちは「彼がわたしになにを、どれだけ与えてくれるのか」という視点があるということに気が付きます。
こんなふうに、いつも自分のことばかり考えていたら、良い恋愛、良い夫婦関係が出来ません。
視点を相手に、向けましょう。
相手をちゃんと、見ましょう。
相手が自分に、どんなふうに接しているのか、行動を見ましょう。
相手を真剣に見ることによって、相手の良いところ、良い部分に気が付くことも、きっとあります。
そして「自分がどれだけ愛されているのか」を考えるより、「自分がどれだけ愛を与えているか」という視点も忘れずに。
パートナーとは対等であるものです。(by カップの2)
与えられることばかり求めていたら、その関係はいずれ亀裂が入ってきます。
なんだか、話が逸れたような気もしますが、今日は自分に向いている視点を相手に変えてみよう、というお話でした。
それじゃーまたね!♪